隠れた弱点が損なう国際競争力
―日本企業が科学的な意思決定を生かせないのはなぜか―
我が国の企業では、数字だけではない高度な経営科学のツールを使った経営意思決定がなかなか浸透しません。欧米はもとよりアジア諸国と比べてもなおざりにされている感があり、経営者の多くはそう言った方法論の存在すら知らないと言えます。
中国で、国際企業のコンサルティングを頼まれた友人が、最適化ツールによる採算性シミュレーション結果を説明したとき、理解を示したのは中国とシンガポールのスタッフで、現地の日本人経営者やスタッフは全く理解出来ず、質問も出来なかったという話がありました。
一因はそう言った数理技術を避けて来た我が国のMBAや経営関係の教育にもあるでしょう。また、技術系の学部では高度な数理技術が教えられ、研究されているが、卒業生が経営に近い部署で働くことはごくまれです。そもそも、教えている教師の多くは現実の応用については全くと言っていいほど無知なのです。
鳩山首相は経営科学で博士号を持っているのですが、事業仕分けやダム問題などにおける合理性と説得性に欠けた進め方や迷走を見ていると、全く生かされているとは思えません。 このような科学的意思決定への無知は経営も国家も危うくする危険をはらんでいるのです。
今回の寺子屋では、小さな改善問題から国家政策に至るまで、幅広い現実の問題解決に対して、オペレーションズ・リサーチや経営科学の方法論を用いて成功を収めてきた2人(実は旧友同士)が、「学校では教えない」成功の秘訣を事例と経験から語り合い、参加者と意見を交換したいと思っています。
トピックス:
・問題が見えれば解答に近づける。
・現場は数字だけでは動かない。
・「全体最適」の正体?
・現場主義は常に正しいか?
・行列の出来る菓子屋さん。
・テロリストと経営科学。
・オイルショックを救った?経営科学。
・科学的意思決定を経営に生かすには。
・「首相の専門科目」で国を救うにはどうするか。
幹事 小林由季(TGS20期)
■ 高井 英造 先生のプロフィール
コロンビア大学大学院経営科学研究科修了。三菱石油数理計画部、エネルギー調査部長、静岡大学教授、和光大学経済経営学部教授(07年まで)、フレームワークス取締役等を経て05年より同社特別技術顧問。07年より静岡大学工学部大学院客員教授、多摩大学大学 院客員教授、文部科学省科学技術政策研究所客員研究官を兼任。
専門分野:OR、経営科学,SCM、ロジスティクス、経営情報論。
■ 中川 義之 先生のプロフィール
京都大学大学院修了(数理工学)。住友金属工業(株)入社後、約20年間生産・物流分野におけるオペレーションズリサーチの適用研究に従事。同社数理技術室長、経営企画部参事を経て、現在キヤノンITソリューションズ(株)コンサルティングセンター長、多摩大学大学院客員教授。
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■ 寺子屋塾開催概要
1.テーマ:『問題が見えれば解答に近づける
―経験から学んだ意思決定をたすける経営科学の正しい使い方―』
2.日 程:2010年 1月20日(水)18:30〜20:00
2010年 2月 8日(月)18:30〜20:00
3.場所: 九段サテライトキャンパス
4.参加対象: 大学院同窓生・院生・会員企業、学部同窓生
5.受講料:4,000円(2回分受講料)
【振込先】三井住友銀行大森支店 普通7368425
多摩大学大学院同窓会
※振込人のあとに「タカイ」と入力してください。
6.限定25名まで(先着順といたします。)
7.申込期限:2010年1月10日
8.申込み先:同窓会専用フォームからお願いします